社長、部下のゴール、知ってます?

社長、部下のゴール、知ってます?

あなたの部下の中で、こいつはちょっといまいちだな、という部下の顔を、1人パッと思い浮かべてみてください。成果がいまいちだったり、新たな仕事を指示してもできない言い訳だけが先んじて出てくる、とか、そんな部下。

思い浮かべたら次に、もう1つパッとイメージ頂きたいことがあります。

その部下が実現したいと思っているゴールは何でしょう。

どうでしょう、さらさらと出てきますか?さらさら出てこない方は、考えるヒントとして、、、、その部下が寝食忘れて熱中できる趣味は?どんな小さなことでも仕事の中で進んで取り組んでいることは?普段同僚とどんな関係でいようとしている?家族構成は?その家族とはどんな関係でいるか?などその部下の日々の言動を思い出して、その部下がどんな未来をみているのか推測してみましょう。

 どうでしょう、少し思い浮かんできましたか?

社長をコーチングさせていただくと、よく、「社員が自発的に動いてくれない」「言われたことしかやらない」「今まで伝えているはずのことが伝わっていない」「新たなことをやらせようとしても、すぐに、リソースがありません、などできない理由を言う」などなど、社員のネガティブな側面が言葉としてたくさん出てきます。お気持ちご推察します。

でも、そもそも、人が自発的に、モチベーション高く動くのは、自分で設定したゴールがあるからなのです。それがないまま人から設定されたゴールのみを追いかけて義務感で仕事をしていると、できない理由が先んじて出てくるのが人の脳の仕組みなのです。

現状から遠いところにwant toな(心から望む)ゴールを設定して、そのゴールの世界の臨場感が、これまで慣れ親しんだ世界の臨場感よりも高まると、無意識はゴールの世界を勝手に実現しようと働きます。これがモチベーションの正体なのです。望むゴールが先に会ってモチベーションは結果上がってくるものです。だからそもそもゴールがなければモチベーションは高まらないのです。

 あなたご自身のことを考えてみてください。何かに熱中している時、モチベーションが高い時のことを思い出してみてください。仕事でも、趣味でも、恋愛でも。まだ実現していないけど実現したいと、自分で思っていることが頭の中で先にイメージされている時、いろんなことを思いついて、実行に移してみる、そんな高いモチベーションではないでしょうか。

ということは、部下のパフォーマンスをもっと高めたければ、部下にゴールを持ってもらう必要があります。社長や上司であるあなたの立場からすると、部下がゴールを持てるような支援できるようにしたいということです。

具体的にどうするか。まずは雑談をしながら部下の仕事のこと、プライベートのことなど、部下の最近のことを聞いてみましょう。そして一通り聞いたら、「これからどうしたいですか?」と聞いてみましょう。その瞬間部下はパッと未来に目を向けて考え始めます。沈黙になるかもしれません、でもOKです。その時間が大切な時間です。これからどうしたいかという質問に対して、すぐにスパッと、サラサラ出てくるわけではないかもしれません。でもいいのです。

大切なことは、そのうち必ず出てくる、これから必ず見つける、一緒に見つけられるとあなた自身が信じて聞いてあげることです。

部下かからでてくるゴールが、上司自身のものさしで、良いとか悪いとか判断する必要もありません。アドバイスすることは多少あるかもしれませんが、重要なことはそうではなくて、相手の思考を未来に向けて、その思考を更に前に進める手伝いをすることなのです。アドバイスするとしても部下の頭の中で未来の臨場感を高めるためのアドバイスです。例えば部下が「今の営業という仕事より企画をやってみたい」というとしたら「そうか、それなら企画部の田中さんに話を聞いてみたらどうですか、彼のこの3年間の仕事ぶりは私も横で見ているけど、とても素晴らしいし、A社のあの企画は彼が試行錯誤してつくりあげたものなんだ」など、部下が知らない情報をインプットして、より未来のイメージをできるようにすることです。部下の言葉を聞きながら、上司であるあなたも一緒に、相手の未来をイメージしてみましょう。すぐに出てこなくても、1回だけではなく、折に触れて10分でも15分でも、2回、3回とたまに聞いてみてください。毎月定期的に30分時間をとってみるのもよいでしょう。仕事以外にも趣味の話、家族の話など、ゴールは複数あります。

  大切なことはあなたが部下のエフィカシー(自己のゴールを達成する能力に対する自己評価:「エフィカシーとは」参照)を高めることです。この子は必ずできると確信することです。部下が望むゴールを必ず見つけて、そのゴールを実現できる、「君ならできる」と思いながら応援することです。

  上手くできるようになってくると驚くほど部下がパフォーマンスを出すようになります。上司であるあなたへ話す言葉も変わります。上司であるあなたの部下に対する言葉も変わります。そして、過去の問題にフォーカスするのではなく、未来どうしよう、という思考になっていきます。

 このような、未来のことを聞いて、一緒にイメージして、ゴールを引き出していくというコミュニケーション、最初は慣れないと思うかもしれません。でも、私がクライアント先でよく聞くのは、上司が部下に「これからどうしたいですか」と聞いてみたら、「思っていた以上に部下が色々と話をしてくれた」「その時は出てこなかったけど後から思い出したように言ってきてくれた」「自分達のやりたいことを一緒に考えてくれてありがたいと部下に言われた」「部下との関係性がかわり、部下に対する見方が変わった」「自分自身も部下の話を聞きながら未来に目を向けることができた」といった声をもらいます。これまで一方的に指示をしてばかりだったり、ダメな部下だと思いこんでいたりして、実は上司自身が部下との関係をネガティブな方向に決めてしまっています。そうすると「これからどうしたいですか」という10文字程度の言葉が最初は出てきづらかったりします。でも必ず関係は良い方向に変化していきます。相手の可能性を信じて、ゆったりと質問して相手を応援してみましょう。

 明日、気になる部下をランチにでも誘って、いろんな話を聞いてみてはどうでしょうか。そして、これからどうしたい?と優しく聞いてみてください。そのゴールを応援するつもりで。上司であるあなたにとっていろいろな気づきが、きっとあると思いますよ。

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